〈 彼岸 〉


  • 毎年よ彼岸の入に寒いのは       正岡子規

  • 現(うつ)し身が生死の境こえしとき 彼岸の光永遠(とわ)に照るべし  村瀬 廣

 三月は彼岸月である。
 お彼岸を我々は「彼岸会」といいます。「彼岸」とは、古代インドのことば、サンスクリット語の波羅密多を漢訳したもので゛悟りの世界゛を意味します。 私達の住む世界は「此岸(生死輪廻の娑婆世界ーいろいろな欲や苦しみのある世界)」といい、此岸と彼岸の間には河がありその水は煩悩の力が満ちています。 その河を渡るためには毎日修行をしなければなりません。その修行とは六波羅蜜(布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧)を指しています。 しかし、毎日修行をするのは大変なので春と秋の年2回、一週間ずつ修行をすることにしました。お彼岸は彼岸に渡るための修行をする期間なのです。
 お彼岸には多忙な毎日に追われてなおざりになりがちなお墓参りやお寺参りをするだけでなく、故人をしのびながらこの期間くらいは施しを行い、生き物を大切にし、心静かな生活をおくりたいものです。
 具体的には、彼岸の入り(18日)には仏壇をきれいにし、花を新しくかえたり、季節の果物や野菜、また亡くなった人の好物をお供えすると亡くなった人も喜ぶと思います。 また、五目ずし等を作ってお供えすることも多く聞きます。お墓では古い花やゴミを始末し、墓を清めてから墓石に水を注ぎ、花や線香をあげて拝礼しましょう。
 お彼岸の家族そろっての先祖祭り(墓参り・寺参り)は今では日本中どこにも見られる日本の年中行事となっています。

※「生活歳時記」 三宝出版  樋口清之
 「仏心」    ミヤケ出版 花山勝友
    この二冊の本から引用し、まとめました。
 
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