〈涅槃〉

 「涅槃」という語はよく目にする語なので知っているように思われますが、いざ説明しようとすると説明できない人が殆どと思います。「涅槃の境地」という熟語で使われますが、一体「涅槃」とはどういうものでしょうか。
 「涅槃」吹き消すこと、または吹き消した状態をいい、煩悩の火を焼き尽くして智慧が完成する悟りの境地を指す。(「新・仏教辞典」 誠信書房)
 もっと知るためには「煩悩」・「智慧」・「悟り」について「広辞苑」で概略を調べました。

・「煩悩」 衆生の心身を悩乱しさせる一切の妄念
・「智慧」 事理を照見して正邪を分別する心の作用
・「悟り」 迷いが解けて真理を体得すること

 つまり、「涅槃」とは「一切の迷いを解脱し真理を見極めること」と言えましょう。「涅槃」は、仏教の大事な思想であり多くの関連した事柄なのです。

・「涅槃図」 釈尊が沙羅双樹の元で涅槃に入る時の図
・「涅槃像」 釈尊入滅の姿を描いたもの
・「涅槃門」 涅槃に入る門
・「涅槃会」 釈尊入滅の2月15日に行われる釈尊追慕のための法要

 私たちは煩悩の中に生き、その煩悩にしがみつき逃れることができないが故に悶々として生活しています。しかし、煩悩から逃れるためには「物事に執着しない」という選択肢があることを知っており、それが「涅槃の境地」に繋がると分かってはいるが、それができません。大変悩ましいものと思います。
 「涅槃」とは、仏教の根本の思想であるとともに、目標でもあると思います。それに向かって煩悩に振り回されない努力を継続したいものです。  

 
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